〜岩国市医療センター医師会病院開設20周年を迎えて〜
センター長 正木 康史
岩国市医療センター医師会病院も早いもので、平成25年8月に開設20周年を迎えることができました。一時聖域なき改悪をもたらす経済至上主義の荒波が医療界にも押し寄せ、厳しい経営環境を強いられましたが、岩国市、県をはじめとする行政、山口大学医学部、県医師会、地域住民の方々、医師会員、その他多くの皆様の温かいご支援ご協力、さらに内山院長はじめ医師会病院職員、また故山田孟名誉センター長および村山正毅前センター長のご努力で健全経営を続けることが出来ました。皆様に感謝申し上げます。
20年の歩みを顧みると、
H5 8月1日 岩国市医療センター医師会病院開設
H5 10月1日 救急センター診療開始
H6 6月 院内保育所開設
H6 11月 開放型病院認可
H10 4月 災害拠点病院指定
H10 12月 地域医療支援病院承認(県内初、全国でも8番目)
H12 4月 日本医療機能評価機構より「認定病院」指定
(県内で5番目、全国の医師会病院では初)
H13 1月 第一回QCサークル発表大会
H16 4月17日 医師会病院開設10周年記念・リハビリテーション施設竣工記念式典
H16 5月 リハビリテーション施設開設
H19 4月 DPC算定導入
療育センター開設
H21 3月 災害派遣医療チーム(DMAT)指定
H22 6月 7:1看護体制入院基本料受理
H24 7月 岩国市療育センター開所
H24 10月 電子カルテシステム運用開始
以上のような主な出来事が挙げられる。
医師会病院の設立目的は365日24時間救急体制の確立、高度な診断技術、医療機能による予防医学を含めた先進医療の実現、高齢化社会に対応した支援体制の確立やリハビリテーションの充実などであり、岩国市民に望まれて実現した医療施設であります。岩国医療圏の将来像を考える時、例えば救急医療一つをとっても国立岩国医療センター一か所では維持が出来ず、一次、二次救急を行う医師会病院が必要とされることは間違いありません。国立岩国医療センターには三次を中心とした高度救急医療を担っていただくのがベストだと考えます。
さて、医師会病院も開設20周年を迎え、マラソンで言えば折り返しに差し掛かってきており、医師会病院の将来像を考える時期に来ていると考えます。病院の建て替え問題やその資金をどうするか、また時代に即した病院形態、経営形態はいかにあるべきかなど、そろそろ検討する機会を設け、準備を進める時期にきております。現在の医師会病院の最も大きな問題点は医師、看護師などのマンパワー不足であります。必要な医師、看護師が十分確保できれば経営面も含めて理想的な医療が提供できますが、現実は非常に厳しい状況にあります。現在の山口大学医学部の入局者数は底に近く、今後地域枠の卒業生が増加してきて、入局者数も増えてくるのは間違いないが、それらの医師が戦力になるには10年程度かかると考えられる。それまでは医師会病院の状況も厳しいものと覚悟する必要がありますが、この間何としても24時間救急医療、高度な診断技術や医療を提供する急性期病院として頑張り、また充実したリハビリ、療育や緩和ケアなどを提供し、市民にとってなくてはならない病院であり続けなければならないと考えております。皆様方のより一層のご鞭撻を、またご助言、ご指導をよろしくお願いいたします。
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